社会基盤ME養成講座「盛土と擁壁」受講生のコーナー
第14期(平成27年度後期) 2015年9月25日
講義の前日(9月24日)受講生と講師の総勢39名で、「ぎふ長良川鵜飼」を楽しむ。
8時45分から12時まで、「擁壁の設計と維持管理」のテーマで2コマの講義。受講生は32名。
第13期(平成27年度前期)2015年6月23日
受講生は32名。公務員、建設会社、コンサルタントがそれぞれ1/3。企業の社長も2人いる。応募者は59名であったようである。
今日の私の講義は、岐阜大学の八嶋先生、愛媛大学の竹田先生も聴講されており、いささか緊張した。
この養成講座が始まったのは平成20年。もう8年になる。
シンポジウム 2015年2月27日
名古屋市の今池ガスホールで、岐阜大学、長崎大学、愛媛大学、長岡科学技術大学、山口大学の5大学によるシンポジウム「安全・安心な国土形成から元気な地方を! 安全な"みち"のために」があった。
わが国では、社会インフラ・ストックの劣化が急速に進んでいるが、維持管理する技術者が不足している。このため、平成20年に岐阜大学でメンテナンスエキスパート(ME)養成講座、長崎大学で道守養成講座がスタートした。平成26年からは愛媛大学、山口大学、長岡科学技術大学でもME養成講座が始められた。5大学合わせると、ME・道守養成講座の修了生は527名に達した。
今日のシンポジウムには、ME・道守養成講座の修了生、大学、文部科学省、国土交通省などの関係者ら207名の参加があった。
光栄にも、招待講演の機会を私に与えていただいた。ME・道守養成講座の修了生には、技術士、コンクリート診断士の資格を持った技術士が多数いる。国土交通省の国道維持出張所の所長など維持管理のベテラン技術者もいる。そのような方の前でおこがましいと思ったが、「土木技術に魅せられて~MEの皆様に伝えたいこと~」と題して、①私が心掛けてきたこと、②問題解決に取り組んだ事例、③昨日の常識は今日の非常識になること、④ME養成講座の仲間の助けでできたこと、⑤MEの皆様に期待すること、について話しをさせていただいた。
私は、岐阜大学のME養成講座で平成20年の第1期生から講師を、また平成26年からは、愛媛大学でも講師をしている。平成20年は、公共事業費が毎年削減されピーク時の1/3まで減り、多くの建設会社が倒産していた。リストラ、賃金カットで倒産を免れたとしても、どこの会社も青色吐息の状態であった。
このような中でも、「このままでは、この国は亡んでしまう」「命の道を守れるME・道守を育成しよう」という高い志を持った土木技術者が大勢おり、今日のシンポジウムに繋がったと思うと感慨深いものがある。
シンポジウムの中で、ME・道守り修了生53名による決意表明があった。
「私たち愛媛ME、長崎道守、山口ME、岐阜ME、新潟MEは、地域ニーズに応えられる土木技術者になろう!!オー!!」
岐阜大と長崎大から始まったME・道守養成講座は、波紋が広がるように全国に普及している。ME・道守修了生の皆様には人々から尊敬されるメンテナンス・エキスパートとなり、今後益々活躍されることを期待している。
シンポジウムの後の懇親会(2015.2.27)
第12期(平成26年度後期)受講生の皆様へ
9月3日(水)には,13時から16時15分にわたり,私の講義を熱心に聴講していただきありがとうございました。一昨年の12月2日に起きた中央道笹子トンネル天井板崩落事故を切っ掛けに,今年の3月31日に道路法施行規則の一部を改正する省令及びトンネル等の健全性の診断結果の分類に関する告示がされ,7月1日より施行されています。
これにより、トンネル、橋梁等は、近接目視により5年に1回の頻度で点検し、その健全性は4段階に区分することになりました。全国にトンネルは1万本、橋梁は70万橋あります。膨大な数のトンネルや橋梁等を点検し、的確に診断するには高度の専門的知識を持った技術者の存在が重要となってきます。
岐阜大学ME養成講座を修了した皆様に対する期待は,今後益々高まることと思われます。皆様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
講義で使用した資料を下記からダウンロードできるようにしています。ご覧になってください。
第11期(平成26年度前期)受講生の皆様へ
前日は,先輩MEとの意見交換会,そして居酒屋「喰なべ」での懇親会と大変お疲れだったと思いますが,それにも関わらず8時45分から12時まで私の講義をとても熱心に聴講していただきありがとうございました。心より御礼申し上げます。
講義で使用した擁壁設計の演習の解答は下記からダウンロードできます。
また,講義よりも詳細な擁壁設計に関する説明に関しては,昭和コンクリート工業(株)での講演用に作成したパワーポイントをご覧になって下さい。
「土木技術に魅せられて」の原稿,PPTは、6月21日に日本技術士会四国本部年次大会で行った講演の内容です。参考にして下さい。
私の講義を聴く時の皆様の真剣な眼差しに,日本のインフラを守るのだという大きな志を感じました。
一昨年の笹子トンネルの天井板崩落事故以来、インフラのメンテナンスが脚光を浴びるようになりました。太田国土交通大臣が「メンテナンス元年」と明言したように、公共事業は作る時代から守る時代へと完全にシフトした。いま、メンテナンスの大きな渦が岐阜大から全国に広がろうとしています。台風の目の中にいるME生たちはまだ気づいていないと思われますが、10年後に振り返ればととんでもないグループに入って最先端のことを学んでいたのだということに気がつくことと思います。
今後の皆様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
第10期(H25年度)受講生の皆様へ
第10期社会基盤ME養成講座の「盛土と擁壁」を熱心に聴講していただき,ありがとうございました。心より御礼申し上げます。
昨年12月の中央道笹子トンネル天井板崩落事故、今年8月のNHKスペシャル「調査報告日本のインフラが危ない」などがあり、岐阜大のME養成講座が全国的に注目を浴びています。四国でも、ME養成講座が話題になっています。世間の人たちの期待に応えられるように頑張りましょう。
旧国鉄の法面防災十訓
一.盛土・切土 法肩歩け
二.法肩亀裂は 滑りの前兆
三.法のはらみは 水のせい
四.水みち塞ぐな それ通せ
五.水を止めるな 列車を止めろ
六.無いより悪い 破れた水路
七.小石パラパラ それ来るぞ
八.湧き水濁る 崩壊近い
九.雨が止んでも 安心するな
十.上を見ながら 崩土の始末
第8期(H24年度前期)受講生の皆様へ
平成24年度前期社会基盤ME養成講座の「盛土と擁壁」を熱心に聴講していただき,ありがとうございました。心より御礼申し上げます。
私はこの講義を通じて皆さんに知って頂きたいと考えていることが3点ありました。
1点目は擁壁の設計法を理解していただくということでした。過去に会計検査で問題になった重力式擁壁とブロック積み擁壁を題材にして,現行の設計法と問題点について説明をしました。
2点目は自動車衝突荷重、落石衝突荷重、地震時荷重のことです。現行の設計では静的荷重として取り扱っています。この結果、ガードレール基礎や落石防護柵基礎などは過大な設計になっています。実験ビデオでこれらのことを見ていただきました。
自動車衝突荷重、落石衝突荷重、地震時荷重は、瞬間的に単発、あるいは繰り返し作用する動的荷重なので、静的荷重とは性質が全く異なります。単純に静的荷重に置き換えることはできません。転倒の安全率が1を下回ると擁壁は回転運動を始めます。滑動の安全率が1を下回るとすべり運動を始めます。静的荷重であれば、運動は無限に継続するので安全率が1を下回ることは許されません。しかし、動的荷重の場合には、荷重の大きさと作用時間で回転やすべりによる変位量が異なります。安全率が1を下回ったとしても変位量が小さければ擁壁の安定性が問題になることはありません。
とても基本的で大事なことですが、このことを理解している土木技術者はほとんどいないように思われます。
3点目は土木技術者の心得です。約40年間の私の経験から得たことをお話させて頂きました。特に言いたかったことは、マニュアルに書かれていることや他人の話を鵜呑みにするのではなく、現地に行き自分の目で確認し、自分の頭で考えていただきたいということです。このことがとても大事です。また、使う数式は自分で誘導し、納得してから使うことも大切です。
わが国は高齢化等の影響で社会保障費が増大する一方です。財政は破綻寸前にあります。高齢化は人だけでなく土木構造物などの公共施設にも見られ、老朽化が進んでいます。社会基盤施設を守っていくためには、莫大な維持補修費が必要になってきます。来るべき時代を乗り切るには、土木技術者の新しい発想が必要です。
講義でお話しさせていただきましたように荷重の特性を正しく理解し,力学的に合理的な新しい設計に切り替えれば,安全性と経済性の両方を満足させることが可能になります。皆さんがこれからの時代を切り拓いて行く上で、私の講義がヒントになれば幸いです。
24日の夜は,思いもかけず皆様とご一緒させていただき、家内共々岐阜での楽しい一時を過ごすことができました。心より御礼申し上げます。
多くの方がME養成講座を通じて知り合った仲間とのつながりを大切にしたいと話されていたのには驚くと共に頼もしく感じました。私がME養成講座の講義を担当させていただき、丸4年が過ぎましたが、八嶋先生を中心とした岐阜大学土木工学科の先生方の絆の強さに大きな魅力を感じ,MEの皆様と同様に岐阜大学の皆様との関係を大切にしたいとずっと考えていたからです。
技術は大切です。それ以上に大切なのが人との繋がりです。重要なポストに就くほど人との付き合いが大切になってきます。第8期生の皆様は、このことをしっかりと自覚されていましたので、大変頼もしく将来が本当に楽しみに思えました。
25日は皆様に勧めていただいた飛騨古川を観光して参りました。出会った人々の心が温かく、手入れが行き届いた素晴らしい町でした。 お陰様で家内と共に思い出に残る楽しい旅を満喫することができました。ありがとうございました。 ⇒旅行記「飛騨古川」
機会がありましたら、是非、南国高知におこし下さい。岐阜とはまた違った素晴らしいところがあります。⇒高知の見所
■補足資料
下記のファイルは、私の今回の講義を補足するためのものです。ダウンロードできるようにしてあります。是非ご覧になってください。もし疑問があれば、メール、ファックス、電話何でも結構ですので遠慮なく質問してください。可能な範囲で回答させていただきます。
ファイル名 | 内 容 | |
24前期(修正) | 講義の際に配布した資料の修正版 | |
Doatu | xls | ランキン、クーロン、試行くさび法、中畑式で主働土圧を算定することができるソフトです。数値を入力できるのは白抜きのセルのみです。 |
Motare | xls |
「自立式擁壁」もしくは「もれ式擁壁」に作用する壁面土圧と地盤反力を算定するソフトです。数値を入力できるのは、「自立式」のワークシートの白抜きのセルのみです。 入力した結果、自立式擁壁であれば、「自立式」のワークシートに表示されるグラフが正常に表示されます。変なグラフになっている場合は、「もたれ式」のワークシートを開いてソルバーを実行してください。 |
落石事故の検証 | 2009年7月に富士山新五合目駐車場での落石事故を検証するため、日本テレビの依頼を受けて行った実験のレポートです。実験の模様は「真相報道バンキシャ」で放映されました。講義のときにその一部をビデオで紹介させていただきました。 | |
落石防護柵の実験 | 新しく開発した落石防護柵用柵端金具の実証実験のレポートです。実験の模様は講義の際にビデオで紹介させていただきました。 | |
落石防護柵論文 | コンクリートブロック基礎に落石防護柵を建込み、それに重錘を衝突させ、基礎の応答を調べる実験です。実験の模様は講義の際にビデオで紹介させていただきました。 | |
落石防護ネットの開発 | エネルギー吸収金具を装着したポケット式落石防護ネット「ロングスパン工法」に関する論文です。平成22年に国土技術開発賞の地域貢献技術表彰(国土交通大臣表彰)を頂いた製品の開発に関する論文です。 | |
防護ネットの課題 | 5月24日の懇親会の席で、ポケット式落石防護ネットのエネルギー吸収に関することが全国的な話題になっているということが話題になりました。何が問題で話題になっているのかこの論文を読めば理解することができると思います。 |